内分泌疾患
こどもの内分泌の病気は、生まれつきの病気や成長過程で発病するものまで様々です。
以下の症状に該当するかたは内分泌の病気の可能性がありますのでご相談ください。
また、学校検診で受診をすすめられたり、他院で治療中のかたで治療方針や治療継続のご相談などございましたら、身長や体重の計測結果や検査結果などを持参ください。
- 低身長・身長の伸びがわるくなった
- 高身長(身長が高すぎる)
- 急激な体重減少
- 急激な体重増加
- 思春期が早い(乳房腫大、陰毛、性器出血)
- 思春期が遅い(生理がこない、声変わりしない)
- 多飲、多尿(夜尿)
- 学校検尿で尿糖陽性、糖尿病
- 甲状腺が腫れている、甲状腺の家族がいて精査を希望する
- 骨折しやすい、骨の変形(O脚、X脚など)
など
低身長
ゆっくり伸びる子や、早く伸びてその後はあまり伸びない子など、こどもそれぞれの身長や発育には個性があります。こどもの身長は成長曲線で評価します。基準値以下の低身長だけでなく、基準範囲内であっても急激に伸びが悪くなってきた場合は早めの受診をお勧めします。また、身長が伸びすぎるこどもに、思春期早発症や甲状腺の病気が隠れていることがあります。
治療できる低身長症には、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの病気、染色体の病気や、子宮内発育遅延(SGA性低身長症)などはホルモン治療の公費対象の疾患があります。身長はよく伸びる時期とそうではない時期があり、男の子では声変わり、女の子では月経が始まると身長の伸びはピークを超えて伸びがゆっくりとなります。こどもの身長が心配な場合は、早めのご相談をお勧めします。受診時には、母子手帳や身長・体重の記録を持参ください。
思春期早発症
思春期とはこどもが大人に成長する過程で心身ともに変化する時期で、男の子は男性らしく、女の子は女性らしく体が変化し、身長の伸びが著しくなります。乳房腫大や陰毛発生などの変化が早かったり、学校検診などで身長の伸びが早いことが受診のきっかけになります。
思春期が早いと最終的に身長が小柄になったりします。幼い年齢で乳房の発達、毛深くなる、月経が発来すると本人が戸惑う心理社会的な問題が起きることがあります。また、まれに脳などに思春期が早まる原因となる病気が見つかることもあります。大部分は体質的に思春期が早い場合が多いですが、診断や年齢によって治療の対象となりますので、治療の効果やご不明な点につきましては受診の際にご説明いたします。
先天性甲状腺機能低下症
先天性甲状腺機能低下症は生まれつき甲状腺のホルモンを作る働きが弱い病気です。甲状腺ホルモンが足りないと身体の発育や知的な発達の遅れが問題となりますが、ほとんどが新生児マススクリーニング検査で発見されます。治療は1日1回甲状腺ホルモン薬を内服します。身体の成長にあわせて定期的に血液検査を実施して内服量を調整します。生涯ホルモン補充が必要な場合がほとんどですが、治療が必要となくなる場合(一過性甲状腺機能低下症)があり、検査結果や治療経過をふまえて判断します。内服治療で良好な成長発達が期待でき、休薬の判断は専門医が慎重に判断いたします。
バセドウ病
首にある甲状腺が腫れ、脈が速くなり、眼球が突出してくることが3大症状です。甲状腺を刺激する自己抗体が産生されるために発症する自己免疫性疾患で、甲状腺機能が亢進状態となるため、全身の代謝が亢進し、特有な臨床症状を呈します。こどもの後発年齢は思春期以降ですが、稀に幼児例もあります。男女比は1:7で女児に多く、家族内に甲状腺疾患がいる場合は発症するリスクは高くなります。バセドウ病の治療には内服治療や手術、放射線治療がありますが、こどもではまず内服治療を開始します。甲状腺機能が落ち着くまでは、基本的には安静が必要となりますが、内服治療にて学校での生活が通常通りおくれることを目指します。
糖尿病
膵臓からインスリンが分泌され、血液中のブドウ糖(血糖)は正常範囲内を維持されています。糖尿病ではインスリンの分泌や働きが悪くなり、血糖を正常に利用できなくなります。血糖値があがると尿の中にブドウ糖が漏れ出るようになり、尿検査で尿糖が検出され、病気に気付かれます。血液中のブドウ糖がうまく利用できなくなると、エネルギーとして利用できないため、疲れやすくなり、やせたりします。また尿糖がでると尿がおおくなり、のどが渇く症状もでてきます。糖尿病は原因によってインスリンが分泌されにくくなる1型糖尿病とインスリンの働きが悪くなる2型糖尿病があります。糖尿病の治療は血糖コントロールをして、合併症を予防することです。治療には、インスリン治療や内服治療などがありますが、1型でも2型でも良好な血糖コントロールとなれば学校行事へ制限なく参加することができます。また、こどもの発達段階に応じて治療の主体は家族のサポートから自己管理へ移行します。ご家族だけでなく園や学校の先生方に協力いただくサポート体制が必要となります。そのため、小児糖尿病の治療に精通した医師のもと、家庭外の環境整備をして治療を続けていくことが重要となります。