皮膚トラブル

赤ちゃん・こどもの皮膚トラブル

こどもの皮膚は角層(皮膚の一番外側)が薄く、また皮脂の分泌量が不安定なことから刺激から皮膚を守るための「バリア機能」が未熟です。そのため、些細なことで湿疹や皮膚炎がおきたり、細菌やウイルスに感染したりするなど皮膚トラブルがおこりやすいのです。
皮膚疾患はその原因により治療方法が異なります。診断の上ひとりひとりに合った適切な治療を行います。近年、皮膚を良い状態に保つことが食物アレルギーやアトピー性皮膚炎の予防につながるとの報告もあり、しっかりとスキンケアをして「バリア機能」を整えることが大切です。

小児皮膚トラブルのイメージ画像

主な皮膚疾患

  • 皮膚のかゆみや発疹
  • おむつかぶれ
  • 水いぼ
  • とびひ
  • あざ
  • 思春期のにきび

ご家庭でのスキンケア

入浴時には良く泡立てた石けん(低刺激性・低アレルギー性で添加物の少ないもの)を使用して、38℃から40℃の温水で優しく洗いましょう。洗いすぎも皮脂や自然な保湿因子を取り除いてしまって、乾燥やかぶれを引き起こす可能性があります。入浴後には保湿剤を塗って皮膚の乾燥を防ぎましょう。
離乳食やよだれを口の周りについたままにしておくと、皮膚のトラブルを起こしやすくなります。こまめに拭いてワセリンなどで保護することをおすすめします

アレルギー・花粉症について

アレルギーとは、食べ物や薬、花粉、ダニ、ほこりなどに対して、過剰な免疫反応が起きることにより、さまざまな症状が引き起こされる状態です。食物アレルギーやアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息などが代表的なものです。当院では症状・原因や年齢・程度によりひとりひとりに合った適切な治療を提案します。

食物アレルギー

近年食物アレルギーは、①乳児湿疹を積極的に治療すること②適切な時期に離乳食を開始することで発症が抑えられることがわかってきました。健康な赤ちゃんには、5か月ころから積極的に離乳食を与えるとよいでしょう。
乳児湿疹やアトピー性皮膚炎のある赤ちゃんや食物アレルギーの症状が明らかなこどもには、血液検査などを行い個別に治療の方針を立てていきます。またアナフィラキシーを起こしたことのある方には、エピペン(商品名)の処方もおこなっています。

アレルギー性鼻炎

鼻閉やくしゃみが続く、睡眠障害や集中力の低下など生活の質にも影響を与えることがあります。
抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬などの予防薬で症状が改善します。またスギ花粉症やダニが原因のアレルギー性鼻炎には舌下免疫療法(微量のスギやダニの成分を毎日服用することでアレルギー反応を減らす根本的な治療)を勧めています。

気管支喘息

症状や原因、年齢にあわせて、予防薬(抗ロイコトリエン拮抗内服薬、吸入薬)の処方や発作時の対応を指導します。園や学校をお休みしたり、救急の受診を減らせるように治療を行います。

気管支喘息のイメージ画像

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹が、よくなったり悪くなったりを繰り返す病気で、多くは1歳未満で発症します。かゆみや湿疹を改善する薬物療法、皮膚のバリア機能を改善・維持するためのスキンケア、環境の整備を行います。薬物療法には炎症やアレルギー反応を抑えるステロイド薬や免疫抑制剤の塗り薬を使用したり、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬などの塗り薬や飲み薬を処方します。症状が改善した後も徐々に薬の量を減らしていくのが一般的です。
当院ではひとりひとりの症状に応じて、また保護者の負担を減らすためできるだけシンプルな治療を提案します。

アトピー性皮膚炎のイメージ画像